110人が本棚に入れています
本棚に追加
凰黎の膝枕で昼寝をしながら、のんびりと過ごす。恒凰宮は煬鳳たちが普段過ごす小屋とは大きさも景色も異なっているが、穏やかな時間は間違いなく自分たちが望んでいるものだった。
本来ならばこの時期の星霓峰はまだ雪が残っているそうなのだが、あろうことか睡龍のお陰でこうしてすっかり春気分で寝転がっていられるというわけだ。
これまでの旅を振り返って思うのは――どんなにささやかな暮らしでも構わない、何の憂いもなく、二人でこうした毎日を過ごしていく。共に寝て共に起き、同じ時間を繰り返す。他愛のないことに思えても、意外にそれは大変なことなのだと思い知らされた。
そして、二人が望む未来を手に入れるためにはあと少し頑張らないといけないのだ。
睡龍の――そこまで考えて煬鳳は頭を振って考えを打ち消す。
今そのようなことを考えるのはよそう。せっかくの穏やかな時間なのだから。
最初のコメントを投稿しよう!