110人が本棚に入れています
本棚に追加
煬鳳がちらりと鸞快子に視線を移すと、鸞快子は肩を竦める。多分、彼に尋ねても二人と同じような答えが返ってくるのだろう。
「まさか一番食べてたのが俺だったなんて……。この通り俺は大丈夫だからさ、みんなも食べようよ! な!?」
特に凰黎!と煬鳳は手元の皿から凰黎の手に饅頭を載せる。そんな煬鳳に苦笑しながら凰黎は受け取った饅頭を見つめる。
「では――煬鳳と、黒曜の関係が一歩前進したことのお祝いとして……頂きましょうか」
「それもそうだな」
凰黎の言葉に鸞快子は頷いて、手近な果物を手に取った。ついでにとばかりに鸞快子は近くの木に留まっている黒曜にも果物を投げてやる。黒曜は果物を器用に嘴で受け止めると、煬鳳たちの横まで降りてきてそれを啄み始めた。
「小鳳よ」
呼んだのは拝陸天だ。煬鳳は汁物の器から顔を上げ、彼を見る。
「本来なら私も小鳳と共に五行盟まで行きたい。しかし……」
「分かってるよ、陸叔公」
最初のコメントを投稿しよう!