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煬鳳が袖でぐしぐしと目をこすると、凰黎が煬鳳の手を押さえ綺麗な手布で煬鳳の涙を拭いてくれる。凰黎は視線だけを拝陸天に向け、柔らかく笑む。
「小鳳は陸叔公のお言葉が嬉しかったのだと思いますよ」
「うん。そう」
凰黎言葉に煬鳳は同意する。
「陸叔公の言葉、もしも俺の両親が生きていたら、きっと同じことを言ってくれたんだろうなって思って。そうしたら凄く嬉しくて泣きたくなったんだ。それに……俺の両親はもういないけど、同じくらい俺のことを心配して、諫めてくれる陸叔公がいる。そう思ったら、もっと嬉しくなったんだ」
また涙が溢れてしまい、煬鳳は堪えようと俯く。そんな煬鳳を拝陸天は肩を抱き優しく包み込んでくれる。それがまた嬉しくて煬鳳は拝陸天に縋りついた。
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