08:五趣生死情侣们(恋人たち)

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 そわそわと被褥に包まれたまま煬鳳(ヤンフォン)が待っていると、半刻にも満たぬ程度の時間で凰黎(ホワンリィ)は戻ってきた。 「お待たせしました」  凰黎(ホワンリィ)の声と共に覚えのない香りが舞い込んでくる。はっきりと何とは分らぬが、どこか遠くの地を思い浮かべるような、不思議な香りだ。  凰黎(ホワンリィ)は茶碗を二つ乗せた盆を卓子(たくし)に置くと、煬鳳(ヤンフォン)に手招きをする。 「……何か羽織って、こっちにいらっしゃい」  いそいそと煬鳳(ヤンフォン)は用意されてあった外衣を羽織って彼の元へと向かおうとする。 「暗いから、気を付けて」  暗闇には慣れっこだが、慣れない場所では確かに躓く可能性もなくはない。ちょうど凰黎(ホワンリィ)は灯燭に火を入れるところだ。うっかり躓いてしまったら大変なことになるだろう。煬鳳(ヤンフォン)は足元に注意を払いながら凰黎(ホワンリィ)の元に向かう。  煬鳳(ヤンフォン)が椅子に座ったとき、優しい光が部屋の中に広がった。 「光を出すこともできますが、あまり強い光では本当に眠れなくなってしまいますからね」  暖かな灯燭の光に目を細め、凰黎(ホワンリィ)は柔らかい表情で語る。  煬鳳(ヤンフォン)卓子(たくし)の上に置かれた茶碗に顔を近づけながら、香りの正体を確かめた。  それでもまだ不思議そうな顔をしていたせいか、凰黎(ホワンリィ)はクスリと笑い「夜は少し冷えますから、温まるものを持って来ました」と言う。 「これ、何だ? 初めての香りがする」 「なんだと思います?」
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