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しかし、なぜ煬鳳と凰黎が同じ夢を見たのだろうか?
他人の見ている夢を別の誰かが覗き見る、少なくとも煬鳳にはそういった芸当はできないはずだ。それに、あの時凰黎は眠ってはいなかった。それなのに誰かの見ている夢を見るというのも妙に思える。
(もしかしたら……)
偶然という可能性も否定できないかもしれない。
或いは――。
夢の中に現れた小黄の声。
もしかしたら小黄が何か関係していたのかもしれない。
しかし、いま重要なのはそこではなく、なぜ凰黎が悪夢を見たかについてだ。煬鳳の見た光景と凰黎の見た悪夢が仮に同一のものであるとするならば、おのずと原因も見えてくるような気がした。
「なあ。凰黎の言った夢の原因ってさ……蓬莱なんじゃないか?」
「あっ……」
凰黎が声をあげる。
「そういえば、随分長く夢を見ていなかったのに蓬莱に会ってすぐにあの夢を見ました。それに、以前夢を見たときも確か閑白に会ったときだったんです。ということは……」
「やっぱり! 蓬莱も閑白も俺のこと敵視してるから……。それで凰黎は警戒して俺に何か起こるような夢を見たんだ」
夢の中でみた桃の花。煬鳳はあれを見て、恐らく仙界に関係あるのではないかと推測したのだ。結果としてはその通りだったということになる。
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