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「確かに、私は彼らのことをとても恐れています。それだけに直接彼らと対峙したときは煬鳳のことが心配で気が気ではありませんでしたから……」
「じゃあ、あいつらと戦ったときの緊張と恐れが極限に達して、悪夢を見たってことか」
「そうなりますね……」
凰黎の表情は少しだけ安堵したように見える。夢だと分かっていても、自分の恋人を失う夢というのは辛いだろう。ましてや凰黎が何よりも恐れている蓬莱や閑白なら当然だ。
煬鳳は乳茶を飲み干すと、凰黎を背中から抱きしめる。
振り返った凰黎が何かを言いかけたようだったが、言葉は出てこなかった。
「凰黎、安心してよ。俺はここにいるからさ。お前の前から消えたりなんかしない。だから安心して」
そう言うと凰黎から腕を放す。
煬鳳の体が離れてすぐに、凰黎は体を煬鳳の方へと向けた。すかさず凰黎の膝の上に座ると、互いの鼻が付きそうなほど近くまで顔を寄せる。
「貴方は先ほどから私が何か話そうとすると、何か仕掛けてくるのですね?」
「へへ、ばれた?」
見透かされて煬鳳は、悪びれずに笑う。
「認めるということは、このあと何をされても良いということだと受け止めますよ?」
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