08:五趣生死情侣们(恋人たち)

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 凰黎(ホワンリィ)の白い手が、煬鳳(ヤンフォン)の顎を捕らえた。煬鳳(ヤンフォン)はにやりと口の端をあげると、凰黎(ホワンリィ)の首の後ろに己の手を回す。 『もちろんだよ』  返事の代わりに煬鳳(ヤンフォン)は唇で答えを告げた。お互い離れぬようにしっかりと抱きしめ合い、何度も深く口付ける。襟の隙間から差し込まれた凰黎(ホワンリィ)の手が滑るたび、煬鳳(ヤンフォン)の肌を粟立たせた。静かな夜に響かぬようにと思いはしたが、堪えきれずに気が付くと小さく短く声が漏れてしまう。 「凰黎(ホワンリィ)っ……」  焦りの混じった声で煬鳳(ヤンフォン)凰黎(ホワンリィ)の名を呼ぶ。  凰黎(ホワンリィ)の見た怖い夢を、二人の思い出で消し去ってしまいたい。辛い夢を彼が忘れられるように。もう二度と見ないようにと願いながら。 「煬鳳(ヤンフォン)……有り難う」 「へっ?」  そんなことを考えていると、凰黎(ホワンリィ)から『有り難う』と言われて煬鳳(ヤンフォン)は素っ頓狂な声をあげてしまった。何より、普段はいつだって「有り難うございます」と丁寧な言い方の彼が砕けた口調で言うのは珍しい。 「急に、どうしたんだ?」 「貴方だっていつも急に言うじゃありませんか」  そう言って凰黎(ホワンリィ)はくつくつと笑う。 「私の不安を拭い去ろうと思って、敢えて積極的になったのでしょう?」  凰黎(ホワンリィ)には敵わない。いつだって煬鳳(ヤンフォン)のことをお見通しなのだ。
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