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「うん。もし小黄が戻ってきたら『あとで必ず迎えに行くから』って伝えておいて欲しいんだ」
「承知いたしました」
煬鳳の頼みを燐瑛珂はすぐさま承諾してくれた。彼は淡々とした性格だが、しっかりした男だ。宮主不在の恒凰宮の留守を任される程には実力も冷静さも兼ね備えている。きっと小黄が戻ってきたら忘れずに伝えてくれるに違いない。
「有り難う。じゃ、よろしく頼む」
煬鳳はそう言うと、鸞快子の方を見る。
あとは二人の挨拶が済めば、いつでも犀安のある垂州へと出立できるのだ。
鸞快子は既に重明鳥の瓊瑤を呼んでいて、瓊瑤は鸞快子と久しぶりの逢瀬を楽しんでいるようだ。とても尊い鳥だという瓊瑤だが、鸞快子の前では好意を隠す様子は無い。鸞快子の肩にもたげた首を載せ、鸞快子もそんな彼女の頭を優しく受け止め撫でている。
……ここまで重明鳥に愛を傾けられる人物が他にいるだろうか。
彼こそまるで神に選ばれたような男だと、瓊瑤と鸞快子の邂逅を見て煬鳳は思った。
「小鳳、ひいお爺様の永覇が必ずお前を守ってくれる。どうか気を付けて行きなさい」
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