09:実事求是真凶手(真犯人)

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 先ほどからずっと名残惜し気に煬鳳(ヤンフォン)の姿を見ていた拝陸天(バイルーティエン)だったが、ようやく別れの言葉を言う決意を固めたようだ。  もちろん、別れといったって一時的なもの。また必ず会えるはずなのだ。 「永覇(ヨンバ)はこの前も翳冥宮(えいめいきゅう)で俺のことを助けてくれたよ。有り難う、陸叔公(りくしゅくこう)」 「あああ、無理をして駆け付けたというのに、見送らねばならぬなど……寂しい!」  堪らず拝陸天(バイルーティエン)煬鳳(ヤンフォン)を抱きしめる。くすぐったいが、心の底から愛おしい。 「俺だって寂しいよ。……でもそろそろ行かなきゃ。火龍のことは不安だけど……」 「もしも小鳳(シャオフォン)に危険が迫ったら、私が火龍を仕留めてみせる!」 「それは駄目だ! 仕留めたら色々あとが大変だから! せめて気づかれないように仕留めてくれ!」 「む、そうか」 「……」  睡龍(すいりゅう)からあからさまに龍が消えてしまったら、色々外圧が面倒になる。それだけはゆめゆめ忘れないようにしなければ。 「もう、とにかく俺は行くから。小黄(シャオホワン)のことも頼んだよ」 「任せて欲しい」  胸を張って拝陸天(バイルーティエン)は大きく頷き、そして煬鳳(ヤンフォン)に微笑んだ。  煬鳳(ヤンフォン)凰黎(ホワンリィ)に「ごめん、待たせたな」と言って謝ると、凰黎(ホワンリィ)は「大丈夫ですよ」と笑顔を見せる。――きっと原始の谷にいる兄のことを重ねていたのだろう、煬鳳(ヤンフォン)はそう感じた。
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