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暫しそうやって一羽と一人だけの時間が過ぎてゆき、煬鳳と凰黎の二人は給仕たちから茶と菓子を頂きながら彼らの時間が終わるのを待っていた。いかに煬鳳たちが急いで五行盟に行きたいとは思っても、本来ならかなりの時間がかかるはずの恒凰宮から犀安までの距離を、僅かな時間で煬鳳たちを運んでくれた瓊瑤には、それくらいの権利はあるだろう。
ひとしきり鸞快子との時間を堪能した瓊瑤は、嬉しそうに再び空へと帰っていった。
「待たせて済まなかったな、行こうか」
瓊瑤を見送った鸞快子はすぐさま煬鳳たちの元に戻ってくる。時間としては数刻ほど。確かに急いではいるが、彼らの時間を渋るほど焦ってはいない。
「いや、瓊瑤には世話になったから。船で戻ってくる時間に比べたら、瓊瑤にお礼をする時間くらいどうってことないよ」
「そうですね。せっかくの彼女の好意ですから、誠意をもって感謝の気持ちを伝えることも大事かと」
煬鳳の意見に、凰黎も同意する。煬鳳としては待っている間に甘い物もご馳走になったので上機嫌だ。
「よし、じゃあ行こうぜ!」
元気に煬鳳がそう言うと二人は互いを見て、そして煬鳳に頷いた。
* * *
「あれ? どうしたんだ?」
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