09:実事求是真凶手(真犯人)

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 橙紅色をした丸襟の衣袍を纏う青年は、五行盟(ごぎょうめい)の受付担当の瞋熱燿(チェンルーヤオ)だ。瞋九龍(チェンジューロン)の子孫でありながら代々才に恵まれず、瞋九龍(チェンジューロン)の華やかな経歴と比べると父も祖父もどこか平凡さが拭えない。  野次馬たちは口々に捨て台詞や文句を言って去ってゆくが、瞋熱燿(チェンルーヤオ)はそれを気に留めることもなく、国師(こくし)鸞快子(らんかいし)の元にやってきた。 「詳しい話はあとにしましょう。奥にご案内します、こちらにどうぞ」  意外なことだが、普段は冴えないと思っていた瞋熱燿(チェンルーヤオ)の一連の所作はとても手馴れている。伊達に長年五行盟(ごぎょうめい)で受付をしていたわけではないようだ。  人が出入りすることも多い手前、ちょっとした諍いや予想できない事態にも難なく対応することができる。 「受付担当……と一口に言っても訪れる人は様々ですから。彼のこういった対処能力は頼もしい限りですね」  鸞快子(らんかいし)たちのあとに続いて歩く凰黎(ホワンリィ)が、瞋熱燿(チェンルーヤオ)の後ろ姿を見ながら感心したように言った。 「ほんとだな、俺もびっくりした。あいつって結構凄いんだ」  凰黎(ホワンリィ)の言葉に、煬鳳(ヤンフォン)も同意する。正直に言って、今回は瞋熱燿(チェンルーヤオ)のことをかなり見直した。彼は武術の才がないことを嘆き、受付担当であることに不服そうではあったが、煬鳳(ヤンフォン)たちは彼のお陰で本当に助けられたと思う。
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