09:実事求是真凶手(真犯人)

13/77
前へ
/1358ページ
次へ
 もしも彼に最初に会ったのが睡龍(すいりゅう)の外に対して敵対的な意志を持つものであったならば、こうはいかなかっただろう。瞋熱燿(チェンルーヤオ)が来てくれたことに感謝しかない、と煬鳳(ヤンフォン)は思った。  国師(こくし)の話を聞いた瞋熱燿(チェンルーヤオ)は、しかし微かに表情を曇らせる。 「睡龍(すいりゅう)を超えて九州全体……? それはとても困りましたね……」 「どうしたのですか?」  浮かない表情の瞋熱燿(チェンルーヤオ)に向かって、凰黎(ホワンリィ)が尋ねた。瞋熱燿(チェンルーヤオ)は少し躊躇ったが、意を決したようで口を開く。 「盟主様はいま、黒炎山(こくえんざん)の地震のことで各所に協力を仰ぐため、出かけられているのです」 「……実は、我々も地震のことがあってまさに五行盟(ごぎょうめい)を訪れたところだったのですよ。恐らく国師(こくし)様の仰りたいことも関係していることだと思います」 「なんですって!?」  驚く瞋熱燿(チェンルーヤオ)に、煬鳳(ヤンフォン)たちは恒凰宮(こうおうきゅう)で気づいたこと、そして鸞快子(らんかいし)国師(こくし)と共に話したこと、国師(こくし)はお告げの内容を明らかにした。 「全ての話を統合すると、いまたびたび起こっている地震、そして地震の起こったあとの不可解な現象。それらは全て、眠れる火龍が復活のために力を吸収したが故に起こったものであるということですね」
/1358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

110人が本棚に入れています
本棚に追加