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もしも彼に最初に会ったのが睡龍の外に対して敵対的な意志を持つものであったならば、こうはいかなかっただろう。瞋熱燿が来てくれたことに感謝しかない、と煬鳳は思った。
国師の話を聞いた瞋熱燿は、しかし微かに表情を曇らせる。
「睡龍を超えて九州全体……? それはとても困りましたね……」
「どうしたのですか?」
浮かない表情の瞋熱燿に向かって、凰黎が尋ねた。瞋熱燿は少し躊躇ったが、意を決したようで口を開く。
「盟主様はいま、黒炎山の地震のことで各所に協力を仰ぐため、出かけられているのです」
「……実は、我々も地震のことがあってまさに五行盟を訪れたところだったのですよ。恐らく国師様の仰りたいことも関係していることだと思います」
「なんですって!?」
驚く瞋熱燿に、煬鳳たちは恒凰宮で気づいたこと、そして鸞快子は国師と共に話したこと、国師はお告げの内容を明らかにした。
「全ての話を統合すると、いまたびたび起こっている地震、そして地震の起こったあとの不可解な現象。それらは全て、眠れる火龍が復活のために力を吸収したが故に起こったものであるということですね」
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