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一通りの話を聞いた瞋熱燿は卓子の上の紙に目を落とし、溜め息をつく。彼は全員の話す内容を一つ一つ丁寧に書き記して纏めたのだ。驚くほど見事に、それぞれの話した内容が一目で理解できるように纏められている。
「お前って人の意見纏める才能あるな……」
見事ともいえる彼の手腕に、煬鳳は思わず感嘆の声を漏らした。
「お褒めに預かり光栄です。……それより、話の続きをしましょう。黒炎山の地震も恐らくは火龍の仕業である。……疑問が一つあるとしたら……お爺様はなぜ自らが封じた黒炎山に、その……」
「どうした?」
急に瞋熱燿が言い淀んだ。不思議に思って煬鳳は瞋熱燿を見る。
「その……お爺様は三百年前に自らの手で火龍を倒したのですよね。それでも巨大な火龍を倒しきることができず、倒れたままの状態で火龍は眠りについた。……ご自分で倒した火龍の頭がある黒炎山に、なぜ黒冥翳魔を封じたのでしょうか」
「えっ……?」
誰もがみな、彼の言葉に静まり返った。
瞋熱燿に視線が集中し、驚いた彼は言葉を切って戸惑う。
「えっと……」
「いや、続けて下さい」
凰黎が促し、瞋熱燿は頷くと、おずおずと言葉を続ける。
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