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「知っての通り、黒冥翳魔の翳炎は強大で、当時の五行使いが束になっても倒しきることができず、封印することになったとか。ですが、黒炎山の火口に封じたことで火山の炎は消えることなく燃え続ける昏い炎に変化し、それが黒炎山の由来になったのだと伝えられています。お爺様はなぜ、火龍の力になるようなことをされたのかと思って……あっ! ごめんなさい、皆さんの話を聞くはずだったのに僕の方が話してしまって……」
話し過ぎたことに気づき、瞋熱燿は慌てた。しかし皆目を丸くして驚くしかない。何故なら、彼の言うことはしごくもっともな話だったからだ。
(ここに黒明がいなくて良かったと思うべきか……)
瞋熱燿の話を聞きながら、煬鳳は流れる冷や汗を止めることができなかった。肩に乗せていた黒曜を掴んで覗き込む。
「黒曜、どう思う……?」
『どうって……。この先のことを考えるのが少し怖い。また怒りに取り込まれてしまいそうで……』
鳥だと思った黒曜がいきなり言葉を話したことに瞋熱燿は驚いているが、煬鳳はそれどころではない。そして、黒曜も煬鳳と同じことを考えているからこそ、いまその続きを考えることを恐れているのだ。
「睡龍は眠らず、国師殿はそう仰いましたね。そして龍の復活が迫っているということも」
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