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話を聞いていた鸞快子は、国師に尋ねた。
「はい。睡龍はまだ眠っています。しかし微睡みながらも目覚めの兆しはあるのです」
「完全な目覚めはいつか、分かりますか?」
国師は首を振る。
「はっきりとした日は分かりません。しかし頭という部位は、当たり前ですが我々にとっても、そして龍にとっても重要な部位です。もし龍の頭が眠る火山が動き始めたというのならば、龍の目覚めもそう遠くない話でしょう。私は国王陛下にはこの予言をお伝えいたしました。ですが他の国に伝えてはおりません。……我々はただ、龍の目覚めを阻止して、国の民たちを守りたいだけなのです」
困ったことになった。誰もが皆そう考えていることだろう。それは煬鳳とて同じことだ。
――何がどうなっているのかはまだ分からない。ただ一つ言えるのは、いま瞋九龍は胡散臭いということ。
瞋九龍は五行盟の盟主だ。本来は五行盟に働きかけて睡龍の鎮静化に協力して貰うつもりだったが、彼が盟主である限りそう簡単にはいかないだろう。恐らくは地震への対応で協力を仰ぐというのも、体裁だけ取り繕っているに違いない。
(思えば揺爪山の一件だってそうだ。本来なら一刻の猶予もならない状況で、みんなが責任を擦り付け合っているのを、あいつは盟主でありながらただ見ているだけだった)
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