09:実事求是真凶手(真犯人)

18/77
前へ
/1358ページ
次へ
瞋熱燿(チェンルーヤオ)瞋九龍(チェンジューロン)の周りで何か最近気になったことは無かったか?」  瞋九龍(チェンジューロン)が何かしら胡散臭いことだけは分かる。しかし、それが何か分からず、結論が出ない。駄目でもともとと思いつつ、煬鳳(ヤンフォン)瞋熱燿(チェンルーヤオ)に答えを求める。 「気になったこと、ですか? ううん……」  瞋熱燿(チェンルーヤオ)は指で支え顎を傾けている。そうは言っても彼は五行盟(ごぎょうめい)本部の受付だ。実際に戦いに赴いたり門派の重鎮たちと絶えず会うような忙しい瞋九龍(チェンジューロン)との間に接点はない。当然ながら、顔を合わせることも滅多にないのだ。 「あ。……その、気になったこととは違うんですが……」 「続けて」  国師(こくし)と従者以外の三人に詰め寄られ、瞋熱燿(チェンルーヤオ)はたじろぐ。煬鳳(ヤンフォン)たちとしては何でもいいから取っ掛かりが欲しい。  おどおどしながら瞋熱燿(チェンルーヤオ)は「実は……」と口を開く。 「少し前からおかしなことが続いていて、今日、五行盟(ごぎょうめい)本部に赴いたのもそのことがあったからなんです」 「おかしなこと?」 「はい。……僕は受付を担当していますが、他にも五行盟(ごぎょうめい)の帳簿や備品、それから諸々の管理などを任されています」 「お前って凄いんだな……」  受付だ、とは言ったものの、帳簿や備品の管理まで全て担当しているというのなら、大したものだ。役職を名乗るなら『受付』などと言わずに他に良い言い方がいくらでもあるだろう。
/1358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

110人が本棚に入れています
本棚に追加