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「瞋熱燿。瞋九龍の周りで何か最近気になったことは無かったか?」
瞋九龍が何かしら胡散臭いことだけは分かる。しかし、それが何か分からず、結論が出ない。駄目でもともとと思いつつ、煬鳳は瞋熱燿に答えを求める。
「気になったこと、ですか? ううん……」
瞋熱燿は指で支え顎を傾けている。そうは言っても彼は五行盟本部の受付だ。実際に戦いに赴いたり門派の重鎮たちと絶えず会うような忙しい瞋九龍との間に接点はない。当然ながら、顔を合わせることも滅多にないのだ。
「あ。……その、気になったこととは違うんですが……」
「続けて」
国師と従者以外の三人に詰め寄られ、瞋熱燿はたじろぐ。煬鳳たちとしては何でもいいから取っ掛かりが欲しい。
おどおどしながら瞋熱燿は「実は……」と口を開く。
「少し前からおかしなことが続いていて、今日、五行盟本部に赴いたのもそのことがあったからなんです」
「おかしなこと?」
「はい。……僕は受付を担当していますが、他にも五行盟の帳簿や備品、それから諸々の管理などを任されています」
「お前って凄いんだな……」
受付だ、とは言ったものの、帳簿や備品の管理まで全て担当しているというのなら、大したものだ。役職を名乗るなら『受付』などと言わずに他に良い言い方がいくらでもあるだろう。
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