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「確かに俺もいま、同じことを考えてたけど……。でも藍方は……」
「煬鳳の言いたいことは良く分かる。それについては彼らと慎重に話し合う。私を信じて欲しい。……だから、君たちは瞋熱燿が承諾してくれるのなら、瞋砂門に行って瞋九龍の意図を探って貰いたいと思っている」
鸞快子の視線が瞋熱燿に注がれる。あとは瞋熱燿の返答次第なのだ。
しかし、彼が悩む理由もよく分かっている。
鸞快子と瞋熱燿の会話に、躊躇いつつも煬鳳は言葉を挟む。
『ありえない話ですが、万に一つでも大爺様がいなくなってしまったら、瞋砂門は持たないでしょう』
以前玄烏門で瞋熱燿が語った言葉。彼は伝説の人である瞋九龍を恐れ、しかし尊敬しているのだ。同様に瞋砂門のことについても真剣に考えている。
そんな彼が、瞋九龍がいかに怪しい行動をしているからといって、瞋砂門を調べさせるようなことをするだろうか?
それについては甚だ疑問だ。
「――分かりました、ご案内します」
しかし、瞋熱燿の決断した言葉に煬鳳たちはとても驚いた。まさか彼が承諾するとはこれっぽっちも思っていなかったからだ。
「いいのか?」
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