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「なにも出なければそれで安心できるのだから、それが一番良いでしょう。どのみち氷の記録自体は明らかに分量がおかしいわけで、もしかしたら不測の事態が瞋砂門で起こっているかもしれない。――なら、それを調査するのは瞋砂門の掌門の子孫である僕の役目でもあり、僕で足りない部分を友人が助け、補って貰うのは何らおかしいことではないでしょうから」
だいぶ回りくどい言い訳だが、いきなり『爺さんが怪しいから調べる』よりは自分の納得する理由を自分なりに考えたらしい。
「ふふ、そうですね。我々はもう友人なのですから。友が困っているときに協力するのは当然ですよね? 煬鳳」
「うん。その通りだ! そうと決まったら善は急げだな!」
凰黎の言葉に煬鳳は合わせるように畳みかける。
瞋熱燿は瞋九龍を尊敬してはいるだろうが、同時に誰よりも彼のことを疑っているのだ。なにせ、煬鳳たちが尋ねる以前から、彼は瞋九龍の行動に疑問を抱いていたのだから――。
鸞快子は国師と共に蓬静嶺へ向かうことになった。……というのも、国師の存在はとても難しいものであり、彼と従者の二人だけを五行盟に残しておくのはさすがに心配だったのだ。
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