09:実事求是真凶手(真犯人)

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「なにも出なければそれで安心できるのだから、それが一番良いでしょう。どのみち氷の記録自体は明らかに分量がおかしいわけで、もしかしたら不測の事態が瞋砂門(しんしゃもん)で起こっているかもしれない。――なら、それを調査するのは瞋砂門(しんしゃもん)掌門(しょうもん)の子孫である僕の役目でもあり、僕で足りない部分を友人が助け、補って貰うのは何らおかしいことではないでしょうから」  だいぶ回りくどい言い訳だが、いきなり『爺さんが怪しいから調べる』よりは自分の納得する理由を自分なりに考えたらしい。 「ふふ、そうですね。我々はもう友人なのですから。友が困っているときに協力するのは当然ですよね? 煬鳳(ヤンフォン)」 「うん。その通りだ! そうと決まったら善は急げだな!」  凰黎(ホワンリィ)の言葉に煬鳳(ヤンフォン)は合わせるように畳みかける。  瞋熱燿(チェンルーヤオ)瞋九龍(チェンジューロン)を尊敬してはいるだろうが、同時に誰よりも彼のことを疑っているのだ。なにせ、煬鳳(ヤンフォン)たちが尋ねる以前から、彼は瞋九龍(チェンジューロン)の行動に疑問を抱いていたのだから――。  鸞快子(らんかいし)国師(こくし)と共に蓬静嶺(ほうせいりょう)へ向かうことになった。……というのも、国師(こくし)の存在はとても難しいものであり、彼と従者の二人だけを五行盟(ごぎょうめい)に残しておくのはさすがに心配だったのだ。
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