111人が本棚に入れています
本棚に追加
鸞快子が五行盟に残っていたら彼がうまくとりなしてくれただろうが、彼は睡龍のことを話すために蓬静嶺に行かなければならない。ならば共に蓬静嶺に行った方が彼らに説明もできるだろうし、いざとなれば蓬静嶺に国師を預けておくこともできる。
「先に国師が睡龍に遣わした人物は、何らかの事件に巻き込まれて命を落としている。国師であろうとここに来た以上何が起こるか分からない」
鸞快子の言葉は煬鳳たちにも理解できる。なにせ国師が睡龍に送った阿駄が冥界から逃げ出したとき――彼に会ったのは煬鳳たちだったからだ。
彼が命がけで国師に伝えたかったことは、本当はもっと沢山あっただろう。しかし本人ではない以上、阿駄が伝えることができたのは『睡龍は眠らず』の一言だけだった。
――けれど、確かに睡龍は眠ってはいなかった。
煬鳳の都合もあるが、同時に睡龍……火龍を鎮めないことには煬鳳も凰黎も、そしてこの地に住む者も外の者も、どうなるか予想もつかない。
分かっているのは、火龍は強大で恐ろしいということだけ。
* * *
最初のコメントを投稿しよう!