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瞋九龍が五行盟の盟主ということもあり、瞋砂門との距離はさほど遠くはない。
だからこそ気軽に瞋九龍は氷を運び込ませたとも考えられる。
中身が本当に氷だけだったのかは、分からないが。
強大な火龍を倒したことで名を上げた瞋九龍の瞋砂門は玄烏門などとは比較にならない広さを誇っている。蓬静嶺もそれなりに広いものではあったが、瞋砂門はさらに広かった。さらにいうならば門戸から屋根に至るまで至るところが華やかで豪華、見上げると光る金色に彩られた翹角は、お世辞にも趣味が良いとは言い難い。
「瞋砂門を守る陣法は強固です。無理に突破すればすぐに気づかれてしまいます。僕が中に入ったら、すぐにこの裏口を開けますので待っていて下さい」
瞋熱燿はそう言って正面の門の方へ走っていく。
「なあ、凰黎。手掛かりは見つかると思うか?」
瞋砂門の門壁は高く、近くで見上げると門の向こう側は見えない。ここに来るまでの間に見た絢爛な外観は賑やかではあるがどこか不気味さを感じた。
鸞快子もいなくなり、瞋熱燿が門を開けるために消えたいま、残っているのは凰黎と煬鳳の二人だけだ。
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