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「そうですね……瞋熱燿は見つかって欲しくないでしょうが……。仮に瞋九龍が何か秘密を抱えているのだとしたら、何かしらの手掛かりは見つかるのではないかと思います」
「なんでそう思う?」
「彼は繊細な性格ではありません。豪快で大雑把で、隠し事を完璧にやり通すことには向いてはいないでしょう」
「な、なるほど……」
凰黎は嶺主代理としてたびたび五行盟の集まりにも参加していた。だからこそ分かる部分もあるのだろう。
五行盟に火龍の件で助けて貰うように頼むつもりでやってきたはずが、どうしてこうなったのか。
しかし、火龍を倒したはずの瞋九龍が、火龍にとって利になる行動をしているようにも取ることができる。いずれにせよ真偽をはっきりさせないことには、五行盟に火龍のことを話せない気がしたのだ。
小さな物音に構えると、裏口の扉が開く。顔を出したのはとうぜん瞋熱燿だ。
「お二人とも、遅くなってすみません。中の見回りは僕が把握していますので、静かにどうぞ」
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