09:実事求是真凶手(真犯人)

32/77
前へ
/1358ページ
次へ
 瞋熱燿(チェンルーヤオ)の手引きで煬鳳(ヤンフォン)凰黎(ホワンリィ)瞋砂門(しんしゃもん)の中へと足を踏み入れる。広いせいか驚くほど瞋砂門(しんしゃもん)の内部は静かで物音一つ聞こえてはこない。 「まず……お爺様の部屋に行ってみますか?」 「待って下さい」  瞋熱燿(チェンルーヤオ)の言葉を凰黎(ホワンリィ)が遮った。 「盟主様は普段は五行盟(ごぎょうめい)に滞在することが多いはず。ならば、誰でも入ることができる私室はあとに回しても大丈夫でしょう。……盟主様しか入ることのできない場所などはありませんか?」 「お爺様しか入ることのできない場所……」  瞋熱燿(チェンルーヤオ)は考えている。ふと、思いついたように顔をあげた瞋熱燿(チェンルーヤオ)は自信のなさそうな顔で煬鳳(ヤンフォン)たちに言った。 「お爺様しか入れないかは分かりませんが、もう長い間鍵を紛失してしまい、使うことが無くなってしまった倉庫ならあります。直せばいい話なのですが、お爺様が倉庫なら新しく作れば良いと仰って」  恐らくは、それに違いない。  煬鳳(ヤンフォン)凰黎(ホワンリィ)は目線で合図を送る。 「……案内して下さいますか?」 「もちろんです。ただし、開くかは分かりませんが……こちらへ……」
/1358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

111人が本棚に入れています
本棚に追加