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瞋熱燿の手引きで煬鳳と凰黎は瞋砂門の中へと足を踏み入れる。広いせいか驚くほど瞋砂門の内部は静かで物音一つ聞こえてはこない。
「まず……お爺様の部屋に行ってみますか?」
「待って下さい」
瞋熱燿の言葉を凰黎が遮った。
「盟主様は普段は五行盟に滞在することが多いはず。ならば、誰でも入ることができる私室はあとに回しても大丈夫でしょう。……盟主様しか入ることのできない場所などはありませんか?」
「お爺様しか入ることのできない場所……」
瞋熱燿は考えている。ふと、思いついたように顔をあげた瞋熱燿は自信のなさそうな顔で煬鳳たちに言った。
「お爺様しか入れないかは分かりませんが、もう長い間鍵を紛失してしまい、使うことが無くなってしまった倉庫ならあります。直せばいい話なのですが、お爺様が倉庫なら新しく作れば良いと仰って」
恐らくは、それに違いない。
煬鳳と凰黎は目線で合図を送る。
「……案内して下さいますか?」
「もちろんです。ただし、開くかは分かりませんが……こちらへ……」
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