09:実事求是真凶手(真犯人)

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 迷いのない足取りで凰黎(ホワンリィ)は倉庫の中に足を踏み入れるが、内部は外よりもさらに真っ暗だ。  煬鳳(ヤンフォン)は急いで袖の中から黒曜(ヘイヨウ)を呼び出して、凰黎(ホワンリィ)の傍に飛ばす。 「普通の灯りじゃ目立ちすぎる。少し暗いけど黒曜(ヘイヨウ)に照らして貰おう」 「助かります、煬鳳(ヤンフォン)」  黒曜(ヘイヨウ)はささやかに鳴き声をあげ、紫に光る球体に姿を変えた。放たれる光は決して明るくはないが、暗闇よりは少し明るい。目立たぬように辺りを照らすには比較的有効な手段だろう。 「中は狭いし、大したものはありませんね」  見回しながら瞋熱燿(チェンルーヤオ)は言う。凰黎(ホワンリィ)煬鳳(ヤンフォン)は屈みながら床を照らし、埃の被っていない場所を探した。 「あった!」  見つけたのは煬鳳(ヤンフォン)だ。予想通り、他とは埃の積もり方の違う部分があったのだ。煬鳳(ヤンフォン)はそれを凰黎(ホワンリィ)瞋熱燿(チェンルーヤオ)に見せ、床板の隙間に手を掛けた。  ――開いた!  案の定、床板は跳ね上がり、地下への階段が姿を現す。簡単すぎるとは思うが、瞋砂門(しんしゃもん)自体の陣法も強力なものであるし、本来なら倉の鍵は存在しないことになっていたわけで、それを加味すればこれでも慎重な方ではあるだろう。 「っ……二人は俺のあとについてきてくれ。それから、口元と鼻はできるだけ隠して、変な臭いがするみたいだから」  階段の奥から風に乗って微かに漂ってきた異臭。それは決して心地の良い部類の者ではなく、嫌悪感を催すものだった。
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