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周囲にうず高く積もる、白骨の山。一人分や二人分という数ではない、もっと沢山だ。もしも異臭がそこからやってきているのならば……元々の白骨には肉が付いていたはずだ。
あまり気は進まないが、なるべく深く考えすぎないようにしながら煬鳳は白骨の状態を確認する。
積み上げられた白骨は決して整った形ではなく、どれもバラバラで無造作。比較的新しいものについてはまだ形を残しているものもあり……。
「うっ……うぇえ……」
その先を考えていたところで、瞋熱燿の声で煬鳳は思考を切り替えた。
堪らず瞋熱燿が膝をつき、えずきはじめてしまったようだ。凰黎が慌てて瞋熱燿の背に手を当てると、すぐに顔色が戻る。どうやら凰黎の送り込んだ冷気によって不快感が取り除かれ、なんとか気分が持ち直したらしい。
「申し訳ありません……その、遺体を見たことが無いわけではないのですが、このような凄惨なものは初めてでして……」
「気にするな。俺も正直あまり気分がいいもんでもないしな」
煬鳳はそう言うと、光を掲げ周囲の様子を確認する。
どうやらこの地下室は、だだっ広いだけの空間ではなく、奥には牢屋のようなものもあるようだ。燐光を受けぼんやりと見える形から、そのように推測した。
「あっちに牢屋があるみたいだ、行ってみよう」
ここまで来たら逃げかえることはできない。このような有様を見つけてしまったからには余計にだ。
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