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人影は――人であるかも分からなかった。驚くほど伸びた髪の毛にボロボロに薄汚れた着衣。元の形が何であったのかも分からぬほど、衣はボロボロでひどく汚れており、肌が露出している部分も少なくはない。
肌は既に元の色が分からぬほど黒々としていて、ぱっと見ただけでは獣か妖邪の一種だと思ってしまうだろう。
両手は壁に鎖で繋がれており、自由は封じられている。床には膝をつけ、項垂れた人影は、眠っているのか起きているのかも分からない。
ただ、見た瞬間に煬鳳は『これは人だ』と直感していた。根拠はないが、一目で分かったのだ。
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