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凰黎の言葉に瞋熱燿が驚いて彼を見上げた。
「凰黎、知ってるやつなのか?」
「はい。先ほど彼が煬鳳に襲い掛かったとき、土行の力を微かに感じました。恐らく彼は土行雪岑谷の誰か……」
「雪岑谷!? 俺が五行盟で詰められたときにあいつらも確かにいたけど、そんな強いと思うようなやつはいなかったぞ!?」
しかし、凰黎の言葉に間違いはないだろう。ということは、煬鳳も知らない誰かということになる。
では、一体誰なのか?
「ううう……」
男が目覚めたようで、微かに呻く。煬鳳がおろおろしていると、凰黎が煬鳳を見た。
「私に任せて頂けませんか?」
気絶させてしまった煬鳳では、男がまた暴れてしまうかもしれない。凰黎はこの男を知っているかもしれないと言っていた。だから凰黎に任せるのが良いだろう、煬鳳はそう考えて凰黎に頷いた。
「分かった。凰黎に任せるよ」
「有り難うございます」
凰黎は男の傍に屈みこむと、瞋熱燿の反対側から男の背中を支えた。凰黎は穏やかな口調でゆっくりと男に語り掛ける。
「私は蓬静嶺の静霄蘭と申します。貴方を助けに来ました」
男の頬がピクリと反応したのが分かった。
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