09:実事求是真凶手(真犯人)

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 どうやら何か思い当たったようだ。 「(ジン)……公子、だと……?」  男は震えながら瞼を押し上げ、凰黎(ホワンリィ)の顔をじっと見つめている。 「おお……儂の記憶から随分年を重ねられたようだが、確かに蓬静嶺(ほうせいりょう)の公子殿……! 儂だ、雪岑谷(せきしんこく)谷主(こくしゅ)吾太雪(ウータイシュエ)だ……!」  煬鳳(ヤンフォン)は聞き間違いなのではないかと男の顔を二度見した。  忘れるはずもない。つい少し前、黒冥翳魔(こくめいえいま)の件で五行盟(ごぎょうめい)吾太雪(ウータイシュエ)の弟子たちには随分色々責められたのだ。  なのに目の前にいる、どれほど牢屋にいたのか分からない男が吾太雪(ウータイシュエ)であると、彼は言うのだから……! 「なんだって!?」  堪らずに煬鳳(ヤンフォン)は声をあげたが、同時に瞋熱燿(チェンルーヤオ)も同じことを口にしたので、結果的に二人とも殆ど同時に叫んでしまった。 「でも、まさか、じゃあ閉閑修行をしているはずの吾太雪(ウータイシュエ)は!? 本当なのか!? 嘘を言っているんじゃないのか!?」 「煬鳳(ヤンフォン)! ……私は幼い頃に吾谷主(ウーこくしゅ)の戦いを見たことがあります。それで先ほどの戦いではっきり分かりました。……この方は間違いなく、雪岑谷(せきしんこく)吾谷主(ウーこくしゅ)です……!」  凰黎(ホワンリィ)がきっぱりと言い切ったことに、煬鳳(ヤンフォン)は何より驚く。彼がここまで言うということは、よほど確信を持ったのだろう。
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