09:実事求是真凶手(真犯人)

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「そんな……なぜ瞋砂門(しんしゃもん)吾谷主(ウーこくしゅ)がこのような姿で……。一体誰が、なぜ、このようなことを……」  動揺のあまり瞋熱燿(チェンルーヤオ)の言葉は縺れている。  吾太雪(ウータイシュエ)はそんな瞋熱燿(チェンルーヤオ)をやや冷めた目で見つめると、 「誰も何も……あの化け物。瞋九龍(チェンジューロン)に決まっている」  と冷たく言い放った。彼は弱っていて、言葉も弱弱しかったが、それでも込められた言葉には怒気がこもっている。 「も、申し訳ございません! 谷主(こくしゅ)様になんということを……!」  慌てて地面に這いつくばるようにして瞋熱燿(チェンルーヤオ)は頭を何度も打ち付けた。煬鳳(ヤンフォン)は慌てて瞋熱燿(チェンルーヤオ)を止めると「いまはそんな場合じゃないだろ!」と叫んだ。 「彼の言う通りです、谷主(こくしゅ)様。お怒りはごもっともですが、まずは脱出を優先しましょう。……それに、我々がここまで来ることができたのは、(チェン)公子のお陰です。彼が瞋九龍(チェンジューロン)の行動がおかしいことに気づき、危険を冒して我々を瞋砂門(しんしゃもん)の中に引き入れてくれたのですから」  凰黎(ホワンリィ)の勢いに半ば飲まれながら吾太雪(ウータイシュエ)は渋々頷く。 「済まない。君たちの言う通りだ。まずはここから出なければ……そうだ!」  吾太雪(ウータイシュエ)は何か思い出したように隣の牢屋へ行こうとする。慌てて凰黎(ホワンリィ)が駆け寄って、倒れそうな吾太雪(ウータイシュエ)を支えた。
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