09:実事求是真凶手(真犯人)

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「……あった!」  崩れた岩の影になった部分の隙間に、何かが光っている。すかさず隙間に手を差し入れてみると、小さな耳飾りのようなものを見つけることができた。 「たぶん激しく叩かれたときにでも外れて吹っ飛んだんだろうな」  霧谷関(むこくかん)で出会った、悲惨な状態の阿駄(アーツォ)の様子を思い出し、煬鳳(ヤンフォン)は顔をしかめる。国師(こくし)に地下でのことを話したらさぞ辛いだろうが、彼には知る権利があるだろう。  それに、吾太雪(ウータイシュエ)煬鳳(ヤンフォン)たちよりももっと詳しく阿駄(アーツォ)の遺言を聞いているかもしれない。  煬鳳(ヤンフォン)は耳飾りを丁寧に布で包むと、懐に大切に仕舞った。  ここで成すべきことは一先ず終わったはずだ。  瞋九龍(チェンジューロン)の所業が明らかになれば、恐らく五行盟(ごぎょうめい)瞋九龍(チェンジューロン)には従わない。そうなれば火龍の件で皆の協力も集めやすくなるだろう。特に、いままで煬鳳(ヤンフォン)に敵意を向けていた雪岑谷(せきしんこく)については、仮に彼の言う通り吾太雪(ウータイシュエ)瞋九龍(チェンジューロン)によって捕らえられていたとなれば彼を助け出したことで、より味方になってくれる確率が上がる。  今すぐここを出て、詳しい話を聞かねばならない――そう考え、煬鳳(ヤンフォン)凰黎(ホワンリィ)を見る。 「急いでここを出ましょう。吾谷主(ウーこくしゅ)を連れ出した以上、この倉庫に侵入者があったことは必ず分かってしまうでしょうから」 「そうだな」
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