09:実事求是真凶手(真犯人)

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 防いだにもかかわらず、衝撃で体のあちこちがずきずきと痛む。痛みに堪え死に物狂いで逃げなければ、すぐに瞋九龍(チェンジューロン)に追いつかれてしまうだろう。 「煬鳳(ヤンフォン)、ここは私が……」  今度は凰黎(ホワンリィ)瞋九龍(チェンジューロン)の足止めをするつもりだ。しかし、こちらは手負いの二人を抱えている。加えて煬鳳(ヤンフォン)もいまは満足に走ることができない。 「駄目だ! 凰黎(ホワンリィ)ひとりであいつを相手にしても、時間を稼げたとしても、俺だけで二人を連れて逃げ切るのは不可能だ」  凰黎(ホワンリィ)が唇を噛む。いま全力の瞋九龍(チェンジューロン)から逃げ切ることがいかに難しいことか、凰黎(ホワンリィ)も痛いほど理解している。 (せめて、逃げるためのまともな手段を考えてくるべきだったな……)  霊力が自由に使えるようになったいま、怖い物なんてないと思っていたのだ。それなのにまさか伝説級の人物と相対することになろうとは、さすがに煬鳳(ヤンフォン)も思わなかった。 「くっ、ははははは! 若造が、笑わせる!」  迫る瞋九龍(チェンジューロン)の声。  万策尽き果て――煬鳳(ヤンフォン)が諦めそうになったとき。 「危なっかしいことしてるんじゃねえよ!」  天から降り注ぐ聞き覚えのある声。  次いで竜巻のような風が吹き荒れたかと思うと、瞋九龍(チェンジューロン)の周りを包み込んだ。 「彩藍方(ツァイランファン)!?」
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