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見上げた先にいたのは、翳冥宮で別れた彩鉱門の彩藍方だ。翼の鉄鉱力士に乗った彼はいつもの飄々とした笑みを見せる。煬鳳たちの前に一陣の風のように降り立った彩藍方は「急いで乗れ! ずらかるぞ!」と言って煬鳳たちを急き立てた。
「助かった、彩藍方!」
「礼はいいからはやくしろ!」
急かされるまでもなく、煬鳳と凰黎は急いで吾太雪と瞋熱燿を鉄鉱力士に乗せる。全員が乗ったのを確認すると、彩藍方はすぐさま鉄鉱力士を浮上させた。
「あいつのことは大丈夫なのか?」
なにせ相手は瞋九龍だ。竜巻に囲まれていようとも攻撃を仕掛けてくるのではないか。空の上で攻撃を受けたら、煬鳳たちはともかく怪我をしている二人にとっては命取りだ。
「大丈夫だ。万象図に封じた、睡龍の歴史の中でも一番強力な竜巻を開放したからな。いかに英雄様といえど、そう簡単に打ち消すことはできないさ」
煬鳳の心配をよそに、あっけらかんと彩藍方は言った。
「ちょっと、一番強力な竜巻って……」
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