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「万象図はどんな物でも吸い込めるんだ。瘴気も陰気も、術だって容易いもんさ。……まあ、掃除が面倒なときの埃取り代わりに使ったりもしてるけど。……ともかく、逃げるくらいの時間は稼げるから安心しな。万が一追ってきてもまだ沢山封じた災害はあるからな」
「……」
彩藍方の言葉にある程度安心はしたが、使い方を間違えればとんでもないことになるだろう。
真実なのかはさておいて、彩鉱門がかつて神の怒りを買った――というのが少しだけ分かる気がした煬鳳だった。
「我々は蓬静嶺に向かっているのですよね?」
二人の話が途切れるのを待っていた凰黎が彩藍方に尋ねる。
瞋九龍を振り切った安堵感から、鉄鉱力士がどこに向かって飛んでいるかを全く把握していなかったのだ。
「そう。なにせ怪我人がいるからな。蓬静嶺には清粛もいるし、嶺主様からも許可を貰ってる。鸞快子が、嫌な予感がするから念のために迎えにいってやってくれって言ったんだ」
「鸞快子が!?」
驚く煬鳳に、彩藍方は「そうだぜ」と言う。
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