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「もともと鸞快子と嶺主様は瞋九龍の行動が怪しいっていうんでずっと見張っていたんだ。だから鸞快子は瞋九龍のことを探るために五行盟にいたんだってさ」
「ああ、どうりで……」
煬鳳たちを五行盟の前で呼び止めたとき、嶺主である静泰還は鸞快子と共にいた。はじめ煬鳳は、鸞快子がもともと蓬静嶺の客卿だからなのだと思っていた。
しかし、彼ら二人は客卿としてだけではなく、瞋九龍を監視するという名目で繋がっていたのだ。
静泰還は煬鳳たちに『瞋九龍はああ見えてしたたかな男だ。見た目ほど単純な男ではない』と言った。煬鳳は額面通りに彼の言葉を受け取っていたが、静泰還の言葉の意味するところはもっと深い――瞋九龍は信用が置けない人物である、という意味を持っていたのかもしれない。
「吾谷主、あと少し耐えられますか?」
凰黎は吾太雪を支えながら、彼の様子を気遣う。一体いつからあの地下室に捕らえられていたのか分からないが、伸び放題で体が殆ど隠れるほどの髪に殆ど原形を留めない服、そして真っ黒に汚れた肌。どれを見てもここ数か月の話ではないように思える。
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