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「皆さん!」
鉄鉱力士が蓬静嶺の門前に降りるなり、清粛と彼の父である清大秧が走り寄る。彼らはすぐさま瞋熱燿と吾太雪が怪我をしていることに気づき、彼らの状態を見る。
「清粛! それに清公子!」
「話はあとで、彼らを奥に運びましょう!」
清粛の呼びかけに応じ、清林峰の門弟と蓬静嶺の門弟たちが二人のことを屋敷の中に運び入れた。煬鳳たちも彼らを手伝おうとしたのだが、清粛たちの手際が良すぎて全く間に入る余地が無い。
「阿黎。大変だったようだな」
二人が居たたまれなさを感じながら清粛たちの後を歩いていると、静泰還がやってきた。彼の出で立ちは普段と変わらぬものであったが、その手には彼の愛剣が握られている。恐らくは、いつ襲撃があっても対処できるようにということなのだろう。
「嶺主様。ご迷惑をおかけして申し訳ございません」
頭を下げた凰黎に倣って煬鳳も頭を下げる。しかし静泰還は「そなたたちが悪いわけではない」と煬鳳たちを遮った。
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