09:実事求是真凶手(真犯人)

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「そう仰らないで下さい。吾谷主(ウーこくしゅ)。我々は貴方に何があったのか、瞋砂門(しんしゃもん)に何が起こったのか……。国師(こくし)様の遣わした方のこと、聞きたいことは沢山あるのです」  吾太雪(ウータイシュエ)の体が辛くないようにと凰黎(ホワンリィ)は彼の背を支え「まだお辛いでしょうが、お願いいたします」と優しく語り掛けた。 「全てお話します。まず――どこから話しましょうか……」  目を閉じ、遠い昔を思い出すように吾太雪(ウータイシュエ)は語りだす。  五行盟(ごぎょうめい)の歴史は百年ほど。  発足のきっかけとなる、黒冥翳魔(こくめいえいま)を封じた当時のことを知る者は既に五行盟(ごぎょうめい)を去り、瞋九龍(チェンジューロン)以外は残っていない。  吾太雪(ウータイシュエ)は現五行盟(ごぎょうめい)の中では静泰還(ジンタイハイ)と比較的年齢が近く、三百年以上を生きる瞋九龍(チェンジューロン)に次いで年長者である。そんな彼でも生まれたときには既に瞋九龍(チェンジューロン)は英雄であったし、彼にとって睡龍(すいりゅう)の地を生み出すきっかけとなった火龍殺(かりゅうさつ)瞋九龍(チェンジューロン)といえば憧れの人物だ。  だから彼が前雪岑谷(せきしんこく)谷主(こくしゅ)の跡を継いで谷主(こくしゅ)になり、五行盟(ごぎょうめい)の代表の一人として瞋九龍(チェンジューロン)と相対したときは得も言われぬ感情があった。
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