09:実事求是真凶手(真犯人)

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 そして吾太雪(ウータイシュエ)が今日いまに至るまで監禁されるきっかけとなった日のこと。  またもたった一人で山へ妖邪(ようじゃ)退治に出かけた瞋九龍(チェンジューロン)を追って、彼は門弟たちと共に彼の手助けに向かった。  その日の敵はただの妖邪(ようじゃ)ではなく、神獣になり損ねた蛟の怪物だったのだ。  いかに英雄といえどたった一人で立ち向かうには分が悪い――そう判断し、急遽瞋九龍(チェンジューロン)の元に向かったのだった。 「ところが、我々が辿り着いたときに、既に瞋九龍(チェンジューロン)は蛟を倒したあとだった。それで終わりならば良かったのだが、我々はとんでもないものを目にしてしまった」  瞋九龍(チェンジューロン)が、倒した蛟を食っていたのだ。  普通の人間がそのようなことを容易くできるはずもない。  真っ赤に光る瞋九龍(チェンジューロン)の瞳は、まさにそれを物語っていた。 「見てはいけないものを見てしまった。奴は人ではなかった! すぐに理解して儂は門弟たちを逃がそうとした。しかし……」  彼の表情が苦渋で満ちる。  瞋九龍(チェンジューロン)の動きは恐ろしいほど素早く、吾太雪(ウータイシュエ)は手も足も出なかった。彼はすぐさま瞋九龍(チェンジューロン)に取り押さえられ、門弟たちは吾太雪(ウータイシュエ)の命を救うために従わざるを得なくなってしまったのだ。 「彼らには本当に申し訳ないことをした……。儂がこうしていままで生かされていたのも、儂を人質にして彼らに言うことをきかせるためだったのだろう」
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