09:実事求是真凶手(真犯人)

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 震える声を懸命に耐えながら、国師(こくし)吾太雪(ウータイシュエ)に尋ねる。  彼の手には、吾太雪(ウータイシュエ)から託された阿駄(アーツォ)の耳飾りが握られていた。鸞快子(らんかいし)から阿駄(アーツォ)とどのような状態で出会ったかを聞いている彼だけに、ある程度の覚悟はしていたはずだ。それでも、やはり実際に起こった事実を聞いた衝撃は計り知れない。 「彼が国師(こくし)殿に伝えたかったこと。それは……『睡龍(すいりゅう)は眠らず、火龍は人の中にあり。五行盟(ごぎょうめい)の盟主、瞋九龍(チェンジューロン)は人に非ず。彼は龍に支配されており、外見は人であるがその皮の中は火龍そのものである――』」  化け物じみた力を持っていると思ったものだが、当然だ。瞋熱燿(チェンルーヤオ)に迫った凶悪な顔を煬鳳(ヤンフォン)は思い出す。人を食わんばかりの形相だと思ったが、彼の正体が龍であるのならばあるいは……。  煬鳳(ヤンフォン)はそこまで考えて、考えるのを止めた。  そんなことよりも、気になるのは瞋九龍(チェンジューロン)は何者か、ということだ。 「でも、もしも瞋九龍(チェンジューロン)が火龍だっていうなら、本当の瞋九龍(チェンジューロン)は一体どうしたんだ? それに、実際に龍はこの地に眠っているからこそ、山があり谷がある。睡龍(すいりゅう)の影響によっていまも地震が起きているわけだしさ」
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