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大地と同化している火龍と戦うことは不可能だ。目覚めてしまえば三州に跨がるほどの強大な龍と戦わなければならない。そして、龍の復活を止める為には、暗躍している瞋九龍を叩く以外の方法はないのだ。
「相手は火龍を倒した英雄……っても、中身は火龍なのか。とにかく奴は化け物じみた力を持ったとんでもない奴だ。鸞快子。あんたにには勝算があるとでも?」
「どの道やらねば睡龍の地だけでなく世界そのものが終わる。勝算があろうとなかろうと、やることに変わりはないだろう」
平然と言い切った鸞快子に彩藍方は返す言葉もない。
睡龍が目覚めれば、世界が終わる――。
それこそ、国師が受けた神託の通りになってしまう。
「逆に考えるんだ。いまならまだ火龍本体を相手にする必要がないんだ。どちらもとんでもない存在ではあるが、少なくとも完全に復活した火龍を相手にするよりは幾分かましではないか?」
比較する対象が間違っている!
誰もが心の中でそう思った。
しかしながら彼の言うことはもっともであり、人の姿をした瞋九龍と復活した火龍とを比べるのであれば、間違いなく瞋九龍を倒す方が数倍マシという結論になる。
結局誰一人鸞快子に異を唱える者はおらず、やるしかないという空気が漂う。
煬鳳はそれとなく集まった面々の顔を見た。
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