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ここは蓬静嶺であるから、当然蓬静嶺の門弟たちは沢山いる。蓬静嶺が清林峰や彩鉱門を現在受け入れているということは、少なくとも彼らは瞋九龍とやりあうつもりなのだ。
彩藍方はやけくそ半分、逃げ腰半分。ただ、彩鉱門は龍の頭が眠る黒炎山を拠点としていた。このままおめおめ別の場所に逃げ出すとも考えにくい。
吾太雪は地下室から脱出したばかりでとても戦える状態ではないし、彼の門弟たちは彼が脱出したことを知らせない限りは瞋九龍の言いなりになるしかないだろう。
国師に戦いを強いることは無理だ。彼は神託を受け、国王に奏上することが彼の責務であり、戦うことはその範疇にない。国のため、世界のためにと従者一人だけ連れて不可侵の睡龍の地にやってきたことだけでも相当なものだ。
そんな彼に、戦いへの協力を求めるのは酷だろう。
彼には全てが終わったあと、睡龍の外に『危機は去った』ということを伝えて貰う役目もあるのだから。
玄烏門は……。
煬鳳は仲間の姿を一人一人思い出す。
「凰黎……」
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