09:実事求是真凶手(真犯人)

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 堪らずに煬鳳(ヤンフォン)凰黎(ホワンリィ)の袖を引いた。凰黎(ホワンリィ)はいま、どのように思っているのだろうか。煬鳳(ヤンフォン)の視線に気づいた凰黎(ホワンリィ)は、穏やかな眼差しで彼に応える。 「玄烏門(げんうもん)の方々の心配をしているのですか? 彼らの殆どは、五行使いではありませんから……瞋九龍(チェンジューロン)と戦うために赴くのは荷が重いでしょう」  凰黎(ホワンリィ)の言う通り、玄烏門(げんうもん)の皆は前掌門(しょうもん)夜真(イエチェン)を除いて五行の力を使わない。厳しい修行に耐え切ることが出来たのが、結果的に肉体が飛びぬけて強いものだったとか、元々そういった素養が無かった者たちが集まったから、というのもある。  しかし、どんなに肉体が強かろうと炎を操る火龍を前にして、それだけでは無力。  そして夜真(イエチェン)蓬静嶺(ほうせいりょう)の門弟である善瀧(シャンロン)と二人、煬鳳(ヤンフォン)にとっては凰黎(ホワンリィ)との仲を取り持ってくれた恩人だ。悪戯に危険な目に遭わせたくはない。  煬鳳(ヤンフォン)は否応もなく瞋九龍(チェンジューロン)と戦う。  だから代わりに彼らくらいは玄烏門(げんうもん)で門弟たちと共に留守を守っていて欲しい。  そう思うのは我が儘だろうか。 「瞋九龍(チェンジューロン)と互角に戦うことのできる人物は本当に一握りです。それだって完全に互角とはいえないでしょう。なにせ彼は我々とは生きてきた年数が違うのですから」 「うん……」
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