10:無常因果的終結(終末)

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 黒炎山(こくえんざん)へと続く山道を長い隊列が進んでゆく。  煬鳳(ヤンフォン)たちを含めた、蓬静嶺(ほうせいりょう)清林峰(せいりんほう)彩鉱門(さいこうもん)の精鋭を集めた合同部隊だ。とはいえ、清林峰(せいりんほう)は戦うためではなくあくまで後方支援のために行動を共にしている。  意外だったのは、蓬静嶺(ほうせいりょう)嶺主(りょうしゅ)である静泰還(ジンタイハイ)がこの隊列を率いていることだ。彼は嶺主(りょうしゅ)の座を継いでからこれまでずっと、積極的に戦いなどに加わることはなかった。  ――多分、嶺主(りょうしゅ)瞋九龍(チェンジューロン)清林峰(せいりんほう)のことを問いただす気なのだろう。  嶺主(りょうしゅ)の妻子を奪ったあの事件。その真偽を問いただしたいのは当然だ。  しかし同時に凰黎(ホワンリィ)のこともまた、煬鳳(ヤンフォン)は心配になる。察しの良い凰黎(ホワンリィ)なら、静泰還(ジンタイハイ)の思いにも当然気づいているはず。  ――きっと、嶺主(りょうしゅ)様のことを心配してるだろうな……。  とはいえ、いかに家族同然に暮らしていたとて、実の妻子の問題に凰黎(ホワンリィ)が口を出すことは決してしないだろう。 「体はもう大丈夫なのですか?」  そんなモヤモヤとした気持ちを抱えながら馬車に揺られていた煬鳳(ヤンフォン)だったが、凰黎(ホワンリィ)に尋ねられてようやく我に返った。彼の口から発せられた言葉は、心底煬鳳(ヤンフォン)の体のことを心配している。
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