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はじめ煬鳳たちは吾太雪を蓬静嶺で休ませておくつもりだった。しかし黒炎山に向かった瞋九龍が雪岑谷と霆雷門、それに瞋砂門の門弟たちを連れて行ったことが偵察部隊より知らされて、休んでいるわけにはいかなくなったのだ。
瞋九龍は間違いなく煬鳳や蓬静嶺と清林峰、それに彩鉱門が追いかけてくることを見抜いている。
――復活が近い瞋九龍は、本性を現したのだ。
彼の考えはいま、手に取るようによく分かる。
雪岑谷と瞋砂門は言うまでもなく瞋九龍に従わざるを得ない。そして霆雷門もうまく乗せてやれば意気揚々と戦いに加わることだろう。五行盟の門派同士が争えば、誰かが呼びかけたとて聞く耳など持ちはしない。その隙をついて全ての門派を火龍の養分にする気なのだ。
『門弟たちを止められるのは儂しかおらぬ。どうか儂を瞋九龍の元に連れて行って欲しい。必ず門弟たちを説得し、奴から引き剥がしてみせる』
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