10:無常因果的終結(終末)

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 雪岑谷(せきしんこく)の門弟――末端の門弟は知らないだろうが、とりわけ一代弟子たちは彼に何が起こっているのかをよく理解している。だからこそ五行盟(ごぎょうめい)においても瞋砂門(しんしゃもん)に寄り添うような意見ばかりを唱えてきた。黒冥翳魔(こくめいえいま)のことで煬鳳(ヤンフォン)を糾弾したときなどが顕著だろう。  彼らを説得するためには、吾太雪(ウータイシュエ)の無事な姿を見せ、彼の言葉を聞かせること。それしかないのだ。  そしてもう一つ気になること。それを確かめるために煬鳳(ヤンフォン)車帷(しゃい)を捲り、外を歩く彩藍方(ツァイランファン)に小声で問う。 「な、藍方(ランファン)瞋熱燿(チェンルーヤオ)は? あいつはどうしてる?」 「ああ……思いつめた顔はしてるけど……大丈夫だろ、多分」  ちらりと後方の隊列を見やって、彩藍方(ツァイランファン)は答える。  昨夜、誰が黒炎山(こくえんざん)に向かうかという話になったとき、瞋熱燿(チェンルーヤオ)は真っ先に手をあげた。 『僕に、行かせて下さい! お爺様が……火龍が瞋九龍(チェンジューロン)の姿をしている以上、瞋砂門(しんしゃもん)の門弟は誰一人、今回の黒炎山(こくえんざん)行きを疑うことはないでしょう。恐らく瞋九龍(チェンジューロン)黒炎山(こくえんざん)に集めた者たちを、かつての黒冥翳魔(こくめいえいま)のように火龍復活の餌にするつもりです。そうすれば復活も少し早まるでしょうから』
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