10:無常因果的終結(終末)

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「有り難う。そうさせてもらうよ」  彩藍方(ツァイランファン)の申し出に礼を言うと、煬鳳(ヤンフォン)凰黎(ホワンリィ)と連れ立って休めるところがないかと辺りを見回す。近くには川が流れている。その川の周りにはで馬に水を飲ませたり、自らもまた水を飲む者もいるようだ。 「煬鳳(ヤンフォン)、喉が渇いていませんか? 川の脇で我々も休みましょう」  煬鳳(ヤンフォン)を気遣うように凰黎(ホワンリィ)は彼の手を取る。手を引かれるままに煬鳳(ヤンフォン)は傍にある岩に腰を下ろした。  遠くのほうでは静泰還(ジンタイハイ)彩鉱門(さいこうもん)掌門(しょうもん)である彩天河(ツァイティエンホア)が何やら話をしている。休憩中とはいえ彼らはここにいる門弟たち全てを率いる身。他の者たちと同じようには休むことはできないのだろう。 「こんな悠長にしていて、大丈夫かな」  瞋九龍(チェンジューロン)のほうが先に黒炎山(こくえんざん)へ向かったことを考えると(いささ)か不安にもなる。しかし休まず動き続けることは難しい。自分一人ならまだしも、同行する者たちがいるのだから当然だ。 「大丈夫かといえば、決して安心はできないでしょうね」 「だよな……」  言葉とは裏腹に、凰黎(ホワンリィ)の口調は落ち着いている。  瞋九龍(チェンジューロン)と共に山頂を目指す者たちの中には、霆雷門(ていらいもん)雷閃候(レイシャンホウ)雷靂飛(レイリーフェイ)もいる。鬱陶しい奴らではあるが、それでも火龍の餌になるようなことがあれば寝覚めが悪い。
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