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随分と仰々しく並べ立てられて、逆に煬鳳のほうが恥ずかしくなってきた。堪らずに顔をそらそうとすると、凰黎の瞳が煬鳳の目に映る。
「凰黎……?」
煬鳳を見つめた彼の瞳は、どこか憂いを帯びていた。
何故そんな表情をするのかと問おうとすれば、瞬く間に悪戯めいたいつもの笑顔に戻っている。
「貴方は粗暴に見えて案外義理堅く、意外なことに誠実です」
「……」
いまの『案外』と『意外なことに』は必要だったのだろうか。
「ですが無鉄砲で向こう見ずなところはいけません。……これから瞋九龍と対峙することになります。そのときはどうか、自分を大切にして下さい。約束して」
「……分かった。約束するよ」
煬鳳は素早く周りからの視線がないことを確認すると……凰黎を抱きしめ、その胸に顔を埋める。微かに凰黎が身を固くしたように思えたが、すぐに優しく抱き返された。
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