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呑気な二人のやり取りに、一瞬自分たちがこれから何をしに行くのかを忘れそうになった煬鳳だった。
(そういえば……)
ふと煬鳳は、鸞快子のことを思い出す。
先ほど現れた鸞快子は、鼓牛のことを紹介するために来たわけではなかったのだ。煬鳳たちが鼓牛との挨拶を済ませたのを見届けると、彼は煬鳳たちに声をかけた。
「五行盟で彼の戦いぶりを見てきたが、束になってかかれば勝てる相手ではない。そこで我々はどのように瞋九龍と対峙するかを嶺主様と彩鉱門の掌門とで話し合ってきた。……それで、君たちにも協力して欲しいと思っている」
煬鳳にとって、瞋九龍との戦いは避けようもないこと。本来は火龍を鎮めるだけで良かったはずが、彼が火龍に乗っ取られていることが分かり、瞋九龍と戦わざるを得なくなってしまった。
だから、鸞快子の提案に応じるのは当然のことだと思っている。
「もちろんさ。凰黎も、そうだろ?」
凰黎はそんな煬鳳の言葉に多少の躊躇いを見せたが、結局溜め息を一つついて、
「そうですね。この山場を乗り切らないことには我々の安寧もあり得ませんから」
と、観念したように承諾した。
鸞快子は二人の返答に安心したようで口元を緩める。
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