10:無常因果的終結(終末)

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 追い打ちをかけるように飛翔してきた無数の剣を永覇(ヨンバ)で打ち返し、煬鳳(ヤンフォン)吾太雪(ウータイシュエ)鉄鉱力士(てっこうりきし)から下りるのを手伝う。そうしている間にも攻撃が止むことはなかったが、黒曜(ヘイヨウ)凰黎(ホワンリィ)の白刃の煌めきによって全ての攻撃は煬鳳(ヤンフォン)たちへ届くことはなかった。  煬鳳(ヤンフォン)吾太雪(ウータイシュエ)の肩を支え、風下を見据える。  そして大きく息を吸い込み、力の限りの大声で叫んだ。 「雪岑谷(せきしんこく)の門弟たち! よく見ろ! お前たちの吾谷主(ウーこくしゅ)はここだ!」  雨のように降り注いでいた攻撃が止まった。 「そんな、吾谷主(ウーこくしゅ)は閉閑修行中ではなかったのか……?」 「しかし、随分痩せたような……別人では?」 「いや、よく見ろ、あの顔は確かに吾谷主(ウーこくしゅ)ではないか」  他の門派の者たちも、閉閑修行中の吾太雪(ウータイシュエ)が現れたとなっては戸惑いを隠せない。  しかし、誰よりも驚いたのはやはり門弟たち、しかも、瞋九龍(チェンジューロン)に脅されていた一代弟子の面々だった。 「まさか……!? 吾谷主(ウーこくしゅ)!? 本物なのか!?」 「逞しかった谷主(こくしゅ)があのように痩せてしまわれるとは……よもや本当に、助け出されたのか!?」  半信半疑の門弟たちに、煬鳳(ヤンフォン)は畳みかけるように呼び掛けた。
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