10:無常因果的終結(終末)

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(変だな、瞋九龍(チェンジューロン)吾太雪(ウータイシュエ)が暴露したときも何もしようとはしなかった。そして瞋熱燿(チェンルーヤオ)が今から言おうとしていることだって、想像がつくはずだ。なのに反論すらしようとしないなんて……一体どういうことだ?)  考えられることは、彼にとって己の正体を暴露するということはさしたる痛手ではないということ。しかしなぜなのかは分からない。  瞋熱燿(チェンルーヤオ)煬鳳(ヤンフォン)たちに促され、震える声で語りだす。 「み、みなさん! 吾谷主(ウーこくしゅ)の仰っていることは事実です! 僕は、お爺様……瞋砂門(しんしゃもん)の秘密の地下室で無数の白骨を発見しました! 瞋九龍(チェンジューロン)は、僕のお爺様だと思っていた人は、人ではなかった! 火龍だったのです!」  煬鳳(ヤンフォン)たちは瞋熱燿(チェンルーヤオ)の霊脈を封じた人物が瞋九龍(チェンジューロン)であると、彼の行動から既に分かっている。しかしそれを彼らにどう説明したらいいのか分からず、まとまりのない言葉で説明する瞋熱燿(チェンルーヤオ)。  普段なら誰かしら疑問を呈す気がするのだが、このときばかりは長年閉閑していたはずの吾太雪(ウータイシュエ)が現れ、彼が瞋九龍(チェンジューロン)に捕らえられていたと語っていたこともあり、皆その場の雰囲気に流され誰一人異議を唱える者はいなかった。  その場にいた全員の視線が瞋九龍(チェンジューロン)へと注がれる。 「くっ……ははははははははははははははははは!」
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