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「一つ――いや、二つ聞いてもいいか」
「なんだ? 小僧」
煬鳳はいつ尋ねようかとずっと考えていた言葉を瞋九龍に向ける。
「彩鉱門を滅ぼそうとしたのもお前の仕業だな?」
「半分はな」
「半分?」
意外な答えに、そして意外にも彼が素直に答えてくれたことに煬鳳は驚く。
「儂にとって彩鉱門の技術は邪魔でしかない。なにせ、儂の体を傷つけた瞋九龍の槍もまた、万晶鉱の宝器であったからな。同じことを二度と起こさせないために、万晶鉱を扱う門派などというふざけた奴らは滅ぼしておく必要があった」
「なら、もう半分は?」
「そこまで言う義理はないな」
なぜか含みのある物言いで、瞋九龍は笑う。
――妙だ。
やけにあっさりと認め、やけにすっぱりと突っぱねた。恐らくは『もう半分』の中に理由があるのだろうが、少なくとも半分というからには恐らくもう半分は彼の仕業ではない。
自ずと導き出される結論をいったん脇に回し、煬鳳は二つ目の質問を投げかける。
「なら二つ目。黒冥翳魔をこの黒炎山に封じたのは、火龍復活のための養分にするためか?」
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