10:無常因果的終結(終末)

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「当然だ。狂乱状態に陥った黒冥翳魔(こくめいえいま)は、全てを恨むあまり己の体が崩れることも躊躇せず怒りに任せて力を振るった。奴の翳炎(えいえん)はこの山の岩漿(がんしょう)とも相性が良く、何より雨や風で消えることはない。上手く育ててやれば永遠に消えることはなく燃え続ける、たとえ当人が魂魄だけの存在になって封印されようとな! 儂が復活するための養分としてこれほど最適な素材はない!」  やはり、と思うしかない。  瞋九龍(チェンジューロン)の正体が判明してから、薄々そのような予感はあったのだ。  翳黒明(イーヘイミン)がこの場にいなくて良かったと思うとともに、いま煬鳳(ヤンフォン)と共にいる翳黒明(イーヘイミン)の片割れ――黒曜(ヘイヨウ)はどのような思いでいまの話を聞いていたのかと思うと胸が痛む。 「儂は『黒冥翳魔(こくめいえいま)を倒し平和を取り戻す』という尤もらしい大義名分を掲げ、五行使いたちに呼び掛けた。そうして魂魄だけを上手く残し、翳炎(えいえん)を火口で燃やし続けることに成功したのだ! お陰で随分と想定よりも早く、儂の体が復活の兆しを見せてくれた。本当に黒冥翳魔(こくめいえいま)には感謝しておるぞ! はっはっはっはっは!」  笑いが収まらぬうちに、煬鳳(ヤンフォン)の肩に留まっていた黒曜(ヘイヨウ)瞋九龍(チェンジューロン)へと飛び掛かった。 「おいっ! 黒曜(ヘイヨウ)!」  止めようとしたが間に合わず、しかしもっと驚いたのは黒曜(ヘイヨウ)だけではなくもう一人瞋九龍(チェンジューロン)に飛び掛かる者がいたからだ。
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